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003・肥後物産株式会社

熊本にある肥後物産株式会社さんと前田の対談

▲左から肥後物産の西 吉幸氏、松永 賢一氏、当プロジェクト事務局長・前田

熊本県八代市にある、国産畳表を扱う肥後物産株式会社様には熊本地震での活動の際に特別なご支援をいただきました。肥後物産株式会社の松永氏と、当プロジェクト事務局長・前田が(地元への)想いを語ります。

《 話し手 》: 肥後物産株式会社 代表取締役社長 松永 賢一氏

「全国の畳店さんが、自分の会社がある熊本のために動いてくれている。でも、自分にはなにもできない。すごくありがたかったんです。」(肥後物産株式会社・松永氏)

前田:このあたり(八代市)も被害があったと・・・

松永:そうですね、でも、やはり熊本に近いところがひどくて。宇城地区とか。このあたりは棟瓦とか鉄筋が入ってないブロック塀が少し。ここは被害といっても熊本側に比べれば少ないです。

前田:イ草農家さんの田んぼの液状化などは?

松永:海沿いの方は、そういう話を聞きますね。イ草農家でなく他のものを作ってる田んぼが液状化しているというのは聞きました。一部のイ草農家も被害があったかもしれないけど、特別深刻な話っていうのは今のところは聞いていないですね。

前田:順序逆になりましたが、今回の特別なご支援、本当にありがとうございました。びっくりしました。あれは、4月下旬でしたか。ご連絡いただいて、いきなり入金口座を教えて下さいと。

松永:いえいえ、こちらこそですよ。全国の畳店さんが、自分の会社がある熊本のために動いてくれている。でも、自分にはなにもできない。すごくありがたかったんです。

前田:熊本へ畳をみんなで運んでいこうってことで、自前のトラックでリレーで運んだりしていたんですが、それだけでは足りなくって。一部運送会社に頼んだりもしました。でも輸送費に関して僕の考えが甘かったところもあって…どうしようかなと思ってたんですけど、本当に大きな援助をいただき、助かりました。

松永:自前のトラックでリレー輸送ですか。それはすごいですね。

前田:今回、ありがたいことに一般の方からも連絡をいただいて。このプロジェクトはお金集めの団体ではないので、寄付を募るようなことは考えていなかったんですが、それでもこのプロジェクトのような、目的がシンプルで明確なところに寄付をしたいっていう方が数名いらっしゃって。

松永:なるほど。プロジェクトのみなさんの熱が一般の方にも伝わっているということですね。

前田:話は変わりますが、肥後物産は国産イ草専門のご商売ですね。そのあたりを少し。

松永:会社の方針として地域の特産品を全国へってことです。

前田:これまでに安価な中国産も扱おうとは思わなかった?

松永:そこにブレはなかったですね。僕がこの仕事を始めた頃に鹿児島のある農協に2度ほど行かせていただいて。そこの方針が「故郷の味と気持ちでお付き合い」ということで、地元のものを全国に広めて、お付き合いを広げていくという理念。それにすごく感動したんです。私自身も同じ想いで仕事をさせてもらっています。

前田:それって本当に地域貢献ですよね。

松永:うちの会社の理念でもあるんですけど、若い方が夢を持って地元で仕事をしていけるという、そういう地域をつくっていきたいという想いが僕自身が強くて。この地域の中に同級生が7人いたんですが、いい仕事はここにいてもないと、みんな出ていってしまって。中学校の友達もひとりしか残っていないし、高校の友達はなおさら関西とか関東に出ていってしまって。これはいけないなと。やっぱり夢を持って故郷ですごせるような地域を作っていきたいですからね。

前田:そうですよね、すごく共感します。

松永:さみしいじゃないですか。当時は小中学校まで遊んだり部活してた仲間が、ひとりしかいないなんて。

前田:そんな松永社長の想いもあって、熊本のために活動をしている僕たちに援助をってことだったんですね。

松永:そうなんです。本当にうれしかったし、ありがたかったんですよ。

前田:ありがとうございます。そうなんですよね。このプロジェクトの全国の畳店も日ごろから、それぞれの地域でお仕事をさせていただいているわけで、そういう意味で、いざという時には地元のために全国の仲間と動くんだと。これが原点ですから。

(対談:2016年09月)

肥後物産株式会社

熊本県八代市にある、国産の畳表を扱う産地問屋。熊本特産の"畳表の良さ"を全国に伝え、畳文化と地域社会の発展に貢献すべく活動している。
HP:http://www.higobussan.com/

あとがき

支援される立場になって考えるということ。

2016年4月の熊本地震。時間の経過に伴って、学校の体育館は授業再開のため避難所ではなくなり、代わりに大きな総合体育館などが環境を整備して新たに避難所を受け入れることになる。このことをぼくたちは「避難所を集約する」と言っていました。多くの自治体で普通に使われている表現だったんです。
ところが、9月に訪問させていただいた熊本市役所の方は「市長をはじめ私たちは『避難所を集約』という言葉は使わないようにしています。」と。「集約ってどこか事務的で、こちら側の都合でしょ。」
ハッとさせられました。言葉遣いひとつが人間の気持ちの奥の部分を反映するだろうし、言葉遣いを変えることで気持ちの奥の部分も変わっていく。
支援される立場になって考える。ぼくたちのプロジェクトは、このことを大切に活動してきました。でも、まだまだのようです。
大きな災害が発生すれば、体育館などの施設があっという間に避難所になる。そんな状況で、被災された方が本当に必要なもの、本当に支援が必要なタイミングは、地元の人にしかわからない。避難所運営スタッフの方 (※インタビュー「002・熊本地震の現場から。」はこちらをクリック) のお話をうかがい実感しました。
でも、ぼくたちのプロジェクトメンバーは全国にいる。いざというときには、本当に必要なものとタイミングを知ることができる。これまで5日で5000枚の約束は「届ける」プロジェクトでしたが、定義をもうひとつ増やしたいと思います。

被災地の畳店が、 全国の仲間から避難所に敷く畳を受け取るプロジェクト。

(事務局長・発起人 前田敏康)