じいさんも同じ風景をずっと見てたのかなって。

工場近くの王子が丘からの景色。じいさんも同じ風景をずっと見てたのかなって。
大学時代は東京にいて、地元に帰ると会いたい人に会えなくなるんだなと思うとなんとなく寂しい気持ちもありました。でも地元に帰ってきてみてやっぱりここがいいなと最近つくづく思うんです。自分の時間がゆっくり持てるなって。自分にとって生きることが楽な場所なんですよね。
一番好きなのは工場近くにある王子が岳。瀬戸内海が見渡せて、ため息がもれる絶景です。橋が四国までつながっているのが見えて、夕日がすーっと沈んでいって、船がすーっと走って、波がまだらに流れてきらきら光って。大晦日に一人で眺めに行くんです。
この景色、昨日見ても明日見てもきっと同じなんだろうけど、なんとなくこの瞬間しか見れんものを見とるんだろうなあと思うんですよね。
死んだじいさんもずっと見てたのかなって。
目に見えない時間を感じる。自分にとってそういうことを噛み締める場所なのかもしれません。
(高田織物株式会社 高田尚志)